──ご出身は？

北海道苫小牧市で“町の車屋の息子”として育ちました。父親が自営業で中古車販売をしていたので。
その影響で僕も小さい頃から車に興味があったんですが、高校生のときに一気に車バカになっちゃって（笑）。

──きっかけは？

車好きの先輩が、サーキットでドリフトする姿を見せてくれたんです。あれで完全に引き込まれましたね。最高にかっこよかった。で、僕も先輩の車を借りてちょくちょく遊ばせてもらうように。場内は公道じゃないので運転免許がなくても自由に走らせることができたし。
ただ、そうするとだんだん思うんですよ。「自分の車が欲しい！」と（笑）。というわけでガソリンスタンドでバイトを。ちなみに、なぜスタンドを選んだかわかります？

──車が好きだから？

だけじゃないんですよ。スタンド店員はガソリンとかタイヤを社割で買えることが多いので、完全にそれ狙い。だって1回のドリフトで燃料もタイヤもかなり消費するから、割引が本当にありがたいのなんの（笑）。
バイト代が貯まって、念願の愛車をゲットしたときは本当にうれしかったなあ。今まで以上にサーキットで遊びまくって、車もいろいろいじりました。

──車中心の生活に。

間違いなくそうですね。だって高校卒業後の進路も「自分の車をいじるための知識がもっと欲しい」って理由だけで、札幌の自動車整備の専門学校を選んでいますし。もちろん進学してもサーキットでドリフトして車体改造して、やっぱりバイト先はスタンドを選んで……。
でもそんな生活をしていると、お金がいくらあっても足りない（笑）。だから就職先は給料の高さを最優先に考え、大手カーディーラーの整備職を選びました。

──大好きな自動車業界に就職。その感想は？

最初は「販売車にオプションやパーツをつけて改造するのが楽しみだな」とワクワクしてたのに、実際の業務には改造の“か”の字もなかったんです。日々、入庫する車に異常がないかチェックやメンテナンスをするだけ。しかも農家のお客さんが多い店で農場のダンプや畑のトラックがメイン。正直がっかりでしたよ。

──理想と現実にギャップが……。

ええ。とはいえ、毎日同じ作業を繰り返していたのがよかったのか、会社主催の整備コンテストでは歴代最年少で全国大会に出場したし、入社2年目にして支社の整備士を取りまとめるチーフメカの役職もゲット。おかげさまでスキルアップにはつながりましたね。

──若くして大活躍。充実感はあったのでは。

まあ、理想の働き方じゃないとは言え、車に関われるのはよかったですよ。だけど、とにかく残業続きでね……。自分の車をいじる余裕もないほど疲れ果ててたし、「明日こそ辞めてやる」って毎日思ってましたもん。
と、そんなときに別のカーショップで働く知人が「うちの会社、整備士が足りないんで来てくれない？」と誘ってくれてね。いい機会だったし、今以上の給料がもらえると聞いて、二つ返事で引き受けました。でも実は、そこも大変で。

──というと？

その店は国産車専門店。扱う車種も限定されていたので、作業的にはラクだったんです。ところが整備士は僕1人しかいなかったから、まあ仕事の多いこと多いこと。明け方までの残業に、ほぼ毎回の休日出勤。しかもそれに対しての手当は何もなし。前職よりもかなりハードなうえに、やっぱりここでも自分の車をいじる余裕はないとあって、虚無の限界を超えてましたよ、もう（笑）。

──虚無の限界（笑）。

それでも社畜のごとく働き続けて3年近く経った頃、「残業代が未払いだ」と労基にチクってくれた同僚がいたんです。おかげで僕もこれまでの手当をごっそりゲット。300万円近くはあったんじゃないかな。だから大喜びで退職して、すかさず休養期間を満喫することに。
次の仕事はクルマ業界だけはご勘弁だったので、それ以外の業種をダラダラと探しながら、だけど自分の車だけはしっかりといじって過ごしていました（笑）。

──ようやく愛車との生活に戻れたと。

そうですね。しかしどういうわけか、車に手をかけ始めると半年もしないうちに300万円がパッと消えちゃって（笑）。さらなるお金を求めてたどりついたのが高収入のナイトワークでした。
いろんな求人があって迷いましたが「仕事終わりにドライブできるか」を基準に考えた結果、終業時間の早い店舗型の風俗店が一番だなって。それで『札幌ハレ系』に応募したんです。大手グループで安心感があったし、何よりも給料が高かったし。あと、これまでの仕事ではツナギを着ていたぶん、今度はスーツを着て働きたいって思いもあったし（笑）。

──（笑）。

しかも応募の2日後には面接で、その場で即採用。あまりのスピード感に驚いたけど、すごくうれしかったですね。

──ところで、現在の業務内容は？

入社してまだ日が浅いので、基本的なことが多いですね。フロントでの受付業務や簡単な接客、それに店内の清掃とか。あ、あとはお店のSNSや女子求人のブログも更新しています。今回のような取材対応も含めて、情報を外に発信する系の作業はここ最近でかなり増えたかも。こうやって新しい業務をどんどん任せてもらえるのがうれしいですね。

──やりがいにつながる？

もちろん。いろんな仕事を経験できますし。とはいえ、僕はまだ何をやっても失敗だらけ……（笑）。特に苦手な電話応対や事務作業に関しては、「あのときはああすればよかった」みたいな反省点が毎日たくさん浮かびますもん。
でも泣き言は言ってられないんで、先輩たちの背中を見て僕自身も日々成長。早く仕事を覚えて一人前になりたいと思います。もっと『札幌ハレ系』の役に立てるように、そしてもっとお給料がもらえるように（笑）。

──お金は大事です（笑）。

だって車を趣味にしちゃうと、いくらお金があっても足りない……（笑）。
ただ真面目な話、昇給だけじゃなくて昇格もしたいかな。願わくばあと半年くらいで役職をもらって、どんどん上を目指していきたい。この会社は職場環境も労働条件もいいので、気持ちに余裕ができて、常に前向きに働けるんですよね。

──それは素敵。

まだ入社2カ月の新人がいきなり役職ってのもおこがましいから、まずは目の前の業務を1つずつ着実に取り組んでいけたらなと。率先して仕事したり、いろんなアイディアを出してみたり、周囲との報連相を徹底したり。そういう積み重ねを経て、いつの日か「本庄に任せておけば大丈夫」って頼られる存在になりたいですね。

──応援しています。

いや、なんか僕みたいなペーペーが偉そうに言ってすみません。でも、僕みたいな業界ビギナーもこうして夢を持って働けるのがこの世界なんですよね。
中にはやっぱり「ナイトワークはちょっと……」と、ネガティブなイメージや先入観を持つ人もいると思うんですけど、「女の子と関わる職種」っていう点が違うだけで、あとは本当にそこらへんの会社と同じ……いや、むしろホワイトですね。
だからもし業界入りを迷っているなら、一歩踏み出してみるといいんじゃないかな。少しの勇気で人生、変わるかもしれませんよ。