――これまでの経歴を。

出産のためお休みをしていたときはありましたけど、約20年間、風俗店のキャストをやっていました。ソープランドにSMクラブ……あ、少しだけAV女優もかじってた（笑）。
まあ、ほとんどはソープランドのキャストでしたが、キャリアの最後がうちのグループで本当によかったと思っています。

――というと？

私に、スタッフ兼講習員というキャスト以外の道を与えてくれたから。
ちなみに、スタッフとして働き始めたのは9カ月前。このとき、私自身はまだまだキャストでやっていける自信はありました。というか、キャストを辞めたら私には何も残らないので、引退の選択肢は一切なかったというのが正しいかな。
でも、同時に「私、いつまでキャストを続けるんだろう」という思いがあったのも事実。完全に引退の時期を見失っていたわけですね。そんな私の心を感じ取ってくれたのか、「のあさんのこれまでの経験と技術、スタッフとしてぜひうちで活かしてみないか」と店長から打診されたんです。
本当にうれしかったな。だって、私がこれまで培ってきた経験が誰かの役にたつわけですから。いやらしい話、お給料も破格だったし（笑）。

――（笑）。そもそも、なぜキャストの道へ？

高校を卒業したあと、もともとは病院で事務の仕事をしてまして。お給料は安かったけど、それなりにやりがいを持って働いてたんです。
そんなとき、父親に相当な額の借金があったことが発覚。それからというもの、父親とのケンカで大好きなお母さんが泣いてる毎日……。
で、思ったんです。「私がなんとかしなきゃ」って。それで、事務の仕事の傍ら、風俗店のキャストとして働くことを決意。20歳の夏でしたね。

――そういう経緯だったんですね。その後は？

吉原のとあるソープランドに入店しました。今思えば、本当に過酷な環境だったなと。

――詳しくお聞かせください。

これはもう、キャストからのやっかみです。今でこそあまりないと思いますが、とにかく当時はすごかった。入店後、若さもあってわりとお客様から指名をいただいてたんですが、ある日、出勤すると私物のドレスがビリビリに破かれていて。またあるときは、荷物を捨てられてたり、お弁当にタバコが入ってたり……。

――完全なイジメですね……。辞めようとは思わなかった？

いや、そこは超がつくほどの負けず嫌いなので（笑）。絶対にのし上がってやるという思いだけでがんばってましたね。

――吉原にはいつまで？

たしか33歳までいたのかな。店はちょこちょこ変えてたけど。それと、事務の仕事も子どもを生んだ27歳まで続けてましたね。

――事務の仕事を続けていた理由は？

2店舗目で知り合ったキャストの先輩に言われたんです。「若くしてこの仕事しか知らないと、一般人の感覚がわからなくなる。事務の仕事をやっているなら、可能な限り続けなさい」って。
いわゆる金銭感覚ですが、これは私も本当にそう思います。やっぱり、キャスト一本だとどうしても麻痺してしまいますから。もちろん、時代もあるし、私から今のキャストたちに強要することはありませんが。

――『桃李』にキャストとして入店されたのはいつ頃？

35歳のときですね。お母さんに子どもを預けて、2年ほど実力試しで出稼ぎ行脚に出ていたので（笑）。ちなみに、お母さんには初めからキャストの仕事のことは伝えていましたよ。
とにかく、ソープランドがある地域はほとんど訪れたと思います。行ったことがないのは北海道と新潟くらい（笑）。吉原で経験と技術を養い、若さもあった当時の私は、風俗店のキャストとしてはまさに脂が乗っている時期だったかなと。行く先々でナンバーワンにもなりましたし。あ、うそ。大阪でだけは全然人気が出ませんでした。我が強すぎたのがよくなかったのかな（笑）。

――（笑）。そこからどのようにして『桃李』へ？

個人的にはやりきった感もあったので、一度、実家に戻ろうと思いまして。やっぱり、子どものことも気がかりだったし。
そんなとき、吉原で一緒にキャストをしていた友人から、『桃李』で働いていると連絡が。それで、当分の間お世話になることにしたんです。

――入店後のことを。

1年ほど経った頃、系列店ができるという話を聞き、お手伝いの名目で千葉へ行きました。結果的にはその店でも2年ほど勤めたのかな。最後の1年は店長に頼まれて新人キャストの育成も任されつつ。私、1年前はキャスト兼講習員だったというわけですね（笑）。
とはいえ、このときはまさか講習員が私のセカンドキャリアになるとは思いもしませんでしたけど。

――スタッフ兼講習員の仕事はいかがですか？

系列店での経験があるので、講習員の仕事は今のところ問題なくこなせているのかなと。店長も「キャストの育成はのあさんに任せます」と言ってくれてますし。
ただ、スタッフとしての仕事も覚えなくてはいけないのでそこは大変ですよ。中でも、PCを使った業務が大の苦手で。私、事務をやっていたくせにね（笑）。
それに、接客面も勉強することだらけ。

――接客面ではキャストの経験が活かせない？

私自身は問題なくコミュニケーションをとれると思ってるけど、現状、少なからずお客様との間に距離を感じてしまうんです。お客様からすれば、やはり女性が案内するということで、単純に恥ずかしさが勝っちゃうんでしょうね。
でも、それを理由に「できない」とは絶対に言いたくない。いつしか同僚にも負けないスタッフに成長してみせます。

――では、今後の目標を。

スタッフとしての当面の目標は先ほど言ったとおりです。
講習員としては、キャストが売れっ子になれるように育てて、いっぱい彼女たちに稼いでもらうこと。結果的に、それが店の売上につながるわけですから。
講習員の仕事は技術指導だけではなく、お客様に対する心がけを理解してもらったり、仕事後のメンタルケアをしたりと、やることは実に多岐にわたります。教育の方法も、キャスト1人ひとりのことをちゃんとわかったうえで、褒めて伸ばすのか、叱って伸ばすのかを見極めなくてはいけませんし。まあ、これは私に課せられた使命かなと。

――最後に未来の後輩へ一言お願いします。

現在『桃李』では、スタッフだけではなく、女性講習員も大募集中。業界での仕事の経験がなくても問題ありません。
経験者ももちろん大歓迎。どちらの職種も、これまでのあなたの経験を高く評価させていただきます。約20年間のキャスト経験しかなかった私の年収がその証拠です（笑）。
現状のお給料に満足していない方はもちろん、私のように引退後のセカンドキャリアに悩んでいるキャストの方もぜひご応募くださいね。