――ご出身は？

埼玉県です。まあ、今の勤め先の池袋もホームグラウンドみたいなものかな。子どものころから、よく通っていたので。

――幼少期はどのようなお子さんだったのですか？

ただのバカ（笑）。

――そんな（笑）。

いやいや、ホントにどうしようもなくて。勉強はしないし、悪さはするし、高校も出なかったし。というか、バカは子どものころに限った話じゃないですね。だって履歴書を初めて書いたのは、『マリングループ』に入社したときですもん。つまり1年半前……37歳（笑）。

――それまで仕事は？

もちろんしていましたよ。居酒屋の店員、イベント会場の設営、建築現場の作業員、什器の搬入出……。ただ、そのほとんどが先輩や知人の職場で、面接の必要すらなかったんです。しかも実家暮らしで生活費の心配もいらないから、小遣いに困ったときだけ働かせてもらう（笑）。言うなれば、「親のスネかじりが、好きに日銭を稼いで、ふらふら遊び暮らしていた」。ほんと何も考えてなかったですね（笑）。

――ちなみにナイトワークの経験は？

あります。前職はデリヘルの店長をやっていました。

――立派じゃないですか！

いやいや、そんなに大層な話では（笑）。知人がオーナー店長をやっていた小さな店でね。例によって小遣い稼ぎのつもりで手伝っていたら、そのうちフルタイムで働くようになりまして。いつの間にか店を任されていた、というだけ。女の子たちも「店長」って呼び始めたし、それで「ああ、そうなのかな」と（笑）。結局、コロナ禍で廃業に追い込まれるまでの半年間でしたが、なんだかんだで、面白さもやりがいもありましたよ。
あとは、キャバクラのボーイとか、ガールズバーのスタッフとか。

――経験が豊富ですね。

30歳をすぎたころから、ナイトワークにも関わるようになりました。遊んだり飲み歩いたりしていると、なじみの店や知人が増えるじゃないですか。そういう縁で「ちょっと手伝ってよ」みたいな。
特に多かったのはガールズバー。客として飲みに行って、スタッフとして店を閉める、なんてこともしょっちゅう……。店長代理として店を回していた時期もあります。僕自身、ガールズバーが大好きなので積極的に手伝っていた、という事情もあるんですけど（笑）。
とまあそういう感じだったから、『マリングループ』に入社するまでの6、7年は、むしろ夜の世界のほうに縁が深かったですね。

――『マリングループ』へ入社した経緯は？

実はデリヘルの店長をやめたあと、また“これまで通りの生活”を送っていたんですよ。「さあ就職先を探そう！」だなんて殊勝な考えは、まるで頭になかった（笑）。
だけどその後すぐに家庭ができまして。相手は20代のときに別れた元嫁。彼女との間には子どももいて、また一緒に暮らし始めたんですよね。で、こんな僕でもさすがに「そろそろ真面目に働かなきゃ」と思うように（笑）。
そんなとき『マリングループ』の求人を見つけて、飛び付いたわけです。「これだ！」って感じで。

――「これだ！」とは？

いっぱいありますよ（笑）。スタートの給与が高い、昇給システムがわかりやすい、誰もが知っている大手グループ。そして景気のよさ。デリヘルの店長時代に「あそこの勢いはすごい」って評判を聞いていましたから。稼げるに違いないと。
あとは経験者への厚遇。これが特に大きな魅力でしたね。

――詳しくお聞かせください。

もともと「経験者採用」を強く打ち出してはいたんです。でも僕の実績なんて、せいぜい半年ちょっとの店長職。しかも小さな個人店。初心者と同じ扱いでもしょうがないと思っていたのに、面接を担当してくれた方は「ナイトレジャー業界に長くいる経験」を買ってくれたんですよ。女の子の管理、お客様の対応、この業界ならではの知識など、「業態は違っても活かせるスキルの共通点は多い」という評価ですね。正直、やる気がみなぎったし、最終面接で提示された初任給も想像以上に高くて、迷うことなく「お願いします！」でした。

――キャリアアップを果たせた。

それも大幅に。
で、これは現在、うちのグループが求めている人材像と同じ話なんです。

――経験者を求めていると。

はい。特に店長や幹部クラスを募集しています。というのも、すぐにでも店のかじ取りができる人材を必要としているから。何せ“グループの勢い”は僕が入社したとき以上。この先もどんどん新店が増えるはず。人によっては「入社即店長」の可能性もあるんじゃないかな。

――善財さんも現在は店長に。

僕の場合はまだまだ教わることばかりですけどね（笑）。特に入社当初はそれなりに苦労もありました。デリヘル時代のやり方はほとんど通用しなかったので。

――デリヘル時代と比べて、どういった点に苦労や違いを感じましたか？

そもそも店舗の規模が違う。田舎の個人商店と、都心の巨大企業くらい差がある（笑）。だから対応する女の子とお客様の人数も比べものにならないし、それだけコミュニケーションの取り方にも多様性が求められるわけです。
それに『マリングループ』のような“ちゃんとした企業”でもなかったのでね。関わる人は多いし、確立した業務フローもあるし、デリヘル時代のように“なあなあ”で済ませないよう注意が必要だなと（笑）。
でもそれらは「思っていたより大変だ」であって、「苦労した」と感じたことではないんですよ。苦労はもっと根本的なところに……。

――というと？

パソコンが使えない（笑）。

――それは業務に差し障りがありそうな……。

女の子の写真をアップする方法とかさっぱり（笑）。そこらへん、デリヘルのときは例のオーナーがやっていたんですよ。おまけにほとんど更新もない。業務報告は手書き、口頭、SNS。もうアナログの極み（笑）。
そんな感じだから、最初は「これ教えて！」ばっかりでしたね。

――上司や同僚が支えてくれた。

今でもわからないことがあれば聞いて回ってますよ。みんなが助けてくれるので。
そうそう、これは『マリングループ』の「すごいな」と思うところなんですけどね。チームワークがしっかりしているんです。キャリアも年齢も関係なしに、お互いを支え合う姿勢が根付いている。しかもデキるスタッフばかり。僕がこうして店長になれたのも、そういう周りの人たちのおかげですよ。

――とはいえ店長を任されるほどの評価ポイントもあったと思うのですが。

うーん……なんでしょう。ただ、技術的な業務で迷惑をかけていたぶん、みんなの仕事を円滑に進めるためのサポートは心がけていました。たとえば業界経験の浅いスタッフが、女の子やお客様の対応に困っていたら、実例をもって教えてあげるとか。「彼女の場合はこう接してあげるといいよ」みたいな。そういう働きを評価してもらえたのかもしれません。

――業界経験者ならではのスキルですね。

「さまざまな“ナイトレジャー業界の住人”に出会ってきました」なんて、履歴書に書ける経歴でもなんでもないんですけどね（笑）。それがここでは武器になるし、高く買ってくれる。しかも僕、もう少しで年収が1千万円に届く勢いでして。こんなに稼げて、最高ですよ。